首都圏ではこのところ毎年中学受験者数が増えているが、5~6歳児が挑む小学校受験熱も高まっている。昨秋の首都圏の私立小学校入試では、7割以上の学校で志願者が増えた。ただ、この私立小学校の入試は、1問、1点の学力勝負である中学受験の「ミニチュア版」では決してない。願書や面接、集団における「行動観察」など、さまざまなものさしで受験者の能力が測られる。この点で、むしろ企業の採用試験に似ているという。小学校受験専門塾の急成長株、「スイング幼児教室」(東京都港区)に話を聞いた。

MENU ■慶應幼稚舎の入試とは? ■採用面接とお受験面接 ■入学願書とエントリーシート ■「縁故者しか入れない」は本当か?

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 小学校受験なら「濃紺」、就活なら「黒」。スーツ姿の受験者たちが、そろって一色に染まる景色は、都心ではおなじみだ。

「小学校受験と新卒採用試験は、スキルや経験のない者を選抜する点で共通しており、突破するポイントも似ています。服装でリスクをとりたくないと考える人が多いのも一緒です」

 スイング幼児教室代表の矢野文彦さんはこう話す。

 同教室は創業11年目とお受験界では新興ながらも、昨秋、名門・慶應義塾幼稚舎(定員144人)に42人が合格した。都心在住の教育熱心な保護者からいま最も注目される幼児教室のひとつである。

 代表の矢野さんと取締役の大原英子さんは、ともにIT大手のNTTコミュニケーションズ勤務から転じて起業した異色の経歴。二人は、小学校といういわば初等教育の「入口」と、就活という「出口」における試験において、多面的評価が行われる点に着目し、受験指導をしてきた。

■慶應幼稚舎の入試とは?

 1678人と、定員の11倍もの志願者を集めた慶應幼稚舎の昨秋の入試。恒例の行動観察では、「限られた人しか見本を見られない」といった一定条件のもと、迷路のようなパズルの街を、5~7人のチーム対抗で作り上げる課題が与えられた。

 矢野さんによると、「みんなで仲良くできることをめざすのは当たり前。自分の意見を主張しつつも、互いの個性を工夫して引き出し合い、課題を達成する。その試行錯誤のプロセスこそが評価される」という。

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曽根牧子
編集者/ライター 曽根牧子

朝日新聞出版アエラムックチームの編集・ライター。『AERA English』『英語に強くなる小学校選び』などで教育、英語学習、小学校受験に関する記事を執筆。

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