【レトルト亭】パウチを両面からヒーターで挟み込み温める仕組み。火やレンジを使えない場所でも温かい食事が取れる。1月下旬から順次7680円で一般販売。パウチの膨張など一部の不具合の報告を受け、対策をとった。今後もさらなるバージョンアップを目指すという。(アピックスインターナショナル)(photo 提供)
【レトルト亭】パウチを両面からヒーターで挟み込み温める仕組み。火やレンジを使えない場所でも温かい食事が取れる。1月下旬から順次7680円で一般販売。パウチの膨張など一部の不具合の報告を受け、対策をとった。今後もさらなるバージョンアップを目指すという。(アピックスインターナショナル)(photo 提供)

■開発者の熱意が伝わる

 家電メーカーのアピックスインターナショナルが開発した、パウチのレトルト商品を温める専用調理器具「レトルト亭」もそんな商品だ。コロナ禍で需要が増えたレトルト食品だが、「鍋でお湯を沸かすのが面倒」「皿に移してレンジで温める時のラップって無駄」という思いが開発のきっかけになったと説明するのは同社開発部の佐藤元紀さん。

「ニッチすぎる商品なので、本当にこういう商品を求めている人がいるのか、お客さまの反応を見極めるためにMakuakeを利用しました」

 するとわずか27時間で初回生産分1200台が完売。急きょ、追加2千台の販売を決めた。

 Makuakeのキュレーター竹内彩稀(さき)さんによれば、プロジェクトが成功する要因は主に三つ。一つが商品力、二つ目がプロジェクト紹介ページのわかりやすさ、そして三つ目が熱意。この三つを兼ね備えていたからこそ、レトルト亭は大きな支持を得られたと分析する。

 前出の門脇さんをサポートしたCAMPFIREのキュレーター竹内一平さんも言う。

「いちばん大事なのは起案者の熱い思い。プロの手を借りれば紹介ページはきれいに作れますが、目に見えない思いがページから伝わるのだと思います」

 自分だけの悩みかと思っていた小さな困りごとが、大きな共感を得るのが0次流通の面白さ。レトルト亭も当初「怠けないでお湯ぐらい沸かせば」の声も社内にあったが、ふたを開けてみれば「ありそうでなかった」便利さに多くの人が共感した。

「さまざまな人の意見を採り入れるうちに、コンセプトが崩れて丸くなってしまうことがあります。応援購入してもらうためには、誰のためのものかを明確に、信念を持って商品にこだわるのがいいと思います」(佐藤さん)

<クラウドファンディングから生まれたアイデア発明品>

CAMPFIRE:国内最大のプラットフォーム 支援総額は550億円超

【サワラーズ】

支援総額 164万5280円(2021年8月終了)

支援者数 788人

●虫に触らずに餌付け完了 釣りの偉大なる助っ人

世界初、釣り針に虫餌を通すための専用グッズ。50回以上試作を重ねた渾身の発明品は、「ミミズやイソメに触りたくない」「何度も失敗するうちに餌が弱ってしまう」といったちょっとした悩みを解決してくれる。開発者の門脇さんが所属する発明学会はCAMPFIREと提携しており、昨年は11件のプロジェクトが立ち上がった。(3acompany)

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