この国ではコロナという危機に関して、予防の段階でも、患ってしまった場合でも「それは運。個人でなんとかしろ」ということなのかもしれない。
つい先日、年下の女友達から、「人に会う機会がない。一人で寂しい。だから、婚活しようと思って」という相談を受けた。なんでもコロナ禍において、結婚相談所みたいなところへ登録でもしなければ、パートナーを見つけるのは、相当、難しいらしい。
あたしは、「やりたいならやれ」と答えた。感染に気をつけて行動するのは、あたしたちのもう日常になっている。個人でこれ以上、なにができようか? 削れるものは、あたしたちにこれ以上ないのではないか?
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2022年3月4日号