2021年11月ロシア杯のSPで首位になったときのワリエワ。真相を明らかにし、このような美しい演技を再び見られる日が来ることを願う
2021年11月ロシア杯のSPで首位になったときのワリエワ。真相を明らかにし、このような美しい演技を再び見られる日が来ることを願う

 ロシアのメディアによれば、ワリエワは「これで表彰式は中止にならないのでしょう」と語ったという。15歳の少女がドーピングを自発的に行ったとは考えにくく、ワリエワがキスアンドクライで泣き崩れる光景には、やり切れなさだけが残った。

 ロシアに帰国したワリエワは歓迎を受け、インスタグラムでコーチへの感謝を綴っている。ドーピングによる処分が決まらない状況下で、3月4・5日にロシア・ソチで行われるチャンネルワントロフィーに出場することが伝えられており、世界選手権(3月21日~、フランス・モンペリエ)出場の可能性にふれているロシアメディアもあるという。

 ワリエワは、女子シングルの歴史上有数の優れたスケーターと言えるだろう。事実だとしてもおそらく自分の意志で行ったわけではないであろうドーピング疑惑によって、15歳の若さでキャリアを終えるのは惜しいと思わせる傑出した才能を持つ。ただ、ドーピングに関する事実がはっきりしない限り、その美しい演技を無心で観ることはできなくなってしまった。今求められているのは、真実を明らかにし、ワリエワの優れたスケーティングが健全な方法で育まれていることを証明することではないだろうか。(文・沢田聡子)

●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」

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