CO2排出企業だから
税制面のメリットもある。
エンジン車は初年度登録から13年超で自動車税と重量税が増額され、重量税は18年超でさらに上乗せされる。だが、コンバートEVなら、税優遇対象の「エコカー」扱いになる。
古川さんはより低価格のサービス提供も計画している。「ビートル」の愛称で親しまれている「フォルクスワーゲン・タイプ1」と「クラシックミニ」に車種を限定し、全国の整備工場でコンバートできるキットを年内に数百万円で販売予定という。
「車はファッションだと思っている私たちの世代と同じように、女性や若者にもファッション感覚で手軽に乗ってもらいたいんです」(同)
政府は昨年1月、「35年までに新車販売の100%を電動化する」との方針を発表した。これに呼応する形で、コンバートEVへの参入に名乗りをあげたのが「両備テクノモビリティーカンパニー」(岡山市)。岡山県を中心に公共交通や物流、不動産、まちづくりなど幅広い事業を手がける両備ホールディングスの社内カンパニーだ。
同社はCO2を排出する事業を多数展開することもあり、脱炭素化に向けた取り組みを進めてきた。
その一つが、1978年に英国から輸入した「ロンドンタクシー」(69年製)のEV化。昨年9月に披露すると反響を呼び、新ビジネスに舵(かじ)を切るはずみになった。
国産部品で生産本格化
同社の強みは、長年公共交通を支えてきた車両メンテナンスノウハウと、西日本最大級の130人の技術スタッフを抱えていること。ロンドンタクシーのEV化に際しても、経年劣化していた内装や外装を、同社が誇るレストアの技術で見事にエコ車両としてよみがえらせたことが高く評価された。
問い合わせはこれまでに50件超。ヴィンテージカーの所有者や企業、自治体からの問い合わせも目立つという。費用は車両持ち込みで250万円から。
さらに注目されるのが、バッテリーやモーターなどの調達ルートだ。EV化に必要な部品を国内メーカーから仕入れる態勢が年内にも整うという。