
──一方、家庭の中にも孤独はあります。息子一家と同居しているおばあさんと一人暮らしのおばあさんだと、同居のほうが自殺率が高いという調査もあります。日本の孤独・孤立の背景を考えると、「他人に迷惑をかけてはいけない」ということや、「自己責任である」という風潮があるように感じます。
そういう思いが強い人ほど、助けを求められないので、孤独・孤立の深い闇に陥ってしまう。孤独・孤立の問題は、風邪をひくように誰にも訪れます。風邪の初期なら薬や漢方を飲んで治ることもある。ただ、治らないのに放置していると肺炎になって命を落とすこともある。孤独も同じだと思うんですね。
日本でこれまで国是みたいになっていた「自助」を一回解いて、誰でも助けを求めることができるよう作り替えていかないと。国が孤独・孤立の問題に取り組むのはパラダイムシフト。これまでの政治では個人の問題とされてきたことを、(前総理の)菅さんは人を中心に置く政策に切り替え、(現総理の)岸田さんも引き継いでいる。
(構成/編集部・深澤友紀)
※AERA 2022年3月7日号より抜粋