■舞台を大切にしたい
――さらにもう一段階、心のギアが上がった瞬間だ。
そして、今。舞台に立てる、喜びの只中にいる。
高木:アイドル以外の仕事では、舞台を一番大事にしたいと思っています。舞台に立たなかったという年は、できれば無いようにしたい。僕は瞬発力派ではないので、映像の仕事で“はい、本番!”となってワンシーンを撮るよりも、たっぷりと時間をかけて稽古して、共演者やスタッフさんたちとみんなで作り上げたものを本番の舞台に上げるやり方のほうが、向いていると思うし単純に楽しいんですよね。お客さんの前に出ることに対して、初日に感じるのと同じくらいの緊張感が千秋楽まで続くタイプなんですよ。毎回震えるくらいの緊張感があるけれども、その緊張感すらも自分にとっては快感なんです。
――このインタビュー記事が掲載される頃には、すでに初日の幕が上がっている。炎上要素満載の本作が、世間にどう受け入れられるのかは不安より楽しみのほうが大きいそうだが、別種の不安があるのだと言う。
高木:舞台期間中に、アイドル業だったりプライベートの時に役の自分が出ちゃうことがよくあるんです。それが今回起こると、本当にやばいです。とにかく、役に入り込みすぎて、僕が不倫をしないことが一番だと思います(笑)。誘惑に駆られてマッチングアプリを始めてしまわないよう、舞台の外ではアイドルの気持ちをキープする努力も忘れずにしていきます(笑)。
(構成/ライター・吉田大助)
※AERA 2022年3月21日号