高木:舞台の映像も、もちろん映画も見ました。でも、薄目で見ました(笑)。完成されたものを見るとどうしても僕はマネてしまう性格なので、違う色を出したいと思ったんです。

――戯曲と向き合い、稽古を重ねる中で、菅原裕一という人物に対する理解度が少しずつ上がってきたという。一見するとクズっぷりが激しいダメ人間だが、探ってみるとそれだけではなかった。

高木:裕一は何事にも中途半端で、言い訳ばっかりして逃げて、楽なほうへ楽なほうへ行こうとするダメなやつなんだけど、ヒモにはなれるこの愛され感はなんなんだ、と(笑)。もしも友だちにいたら、あいつバカだなぁとか言いながらも、気にかけちゃうと思うんですよ。“愛されるバカ”という感じをどう出せるのか、そこが今まさに探っているポイントですね。

――裕一はマッチングアプリで待ち合わせした相手に対し、緊張をほぐすつもりで「ブスが来たら帰ろうと思ってた」と言い放つ。同棲中の彼女に対しては、「俺、明日から生まれ変わるからさ!」。ひどいことやバレバレの嘘をバンバン言うけれども、なぜか嫌いになり切れない。それはもしかしたら、裕一の中に「自分」を見つけるからかもしれない。

高木:実際に行動に移していないだけで、裕一みたいに「逃げたい、楽したい」っていう気持ちは当たり前のようにみんなが持っているものだと思うんです。この作品を一人ひとりがどう受け取るのか、反応がすごく楽しみです。

――実は、三浦作品への出演経験があるジャニーズの先輩がいる。Kis-My-Ft2の藤ケ谷太輔だ(18年上演の舞台「そして僕は途方に暮れる」)。今回の舞台について、話をする機会があったという。

高木:「ジャニーズカウントダウンライブ」の楽屋が一緒だった時に、藤ケ谷さんに“どうでしたか?”というお話をちょっとだけさせていただきました。三浦さんの現場は厳しくて大変、という噂を聞いていたので……。そうしたら、“痩せた”と言っていました。その言葉の詳しい意味は、察してください(笑)。でも、“本当に大変だけど、ためになるから。やった後に得るものが大きいから、真剣に取り組んだらいいと思うよ”と言っていただいたんです。

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