<新規感染者数は減少傾向にあるものの、病床使用率とともに急激な減少が見られない状況にある。変異株・BA.2 への置き換わりも時間の問題と言える。まん延防止等重点措置(解除)の取扱いを議論してもよいと思う。しかしながら、受け入れ病院や地域の診療所の負荷が依然として高い現状。感染者数が十分に下がりきらずに再拡大(リバウンド)が生じることは想像に難くない。そのためにも、再拡大の発生時期を少しでも遅らせなければならない>

 茂松会長は改めてこう警鐘を鳴らす。

「吉村知事も『高齢者や施設へのコロナ対応が大事』と言っている。それは専門家も同じ意見です。しかし、それでどう対応するねんと言いたい。その部分が大阪府には欠けており、専門家と乖離がある。地域の病院、開業医、高齢者施設などそれぞれの事情に合わせて、連携してコロナと戦う仕組みを作らなければならない。大阪府の病床使用率はまだ50%を超えている。この数字は現場にとって非常に負担な状況です。だが、そういう現場の声が届き、改善されるような、仕組みにはなっていない。このままでは第7波がきたときには、また大変なことになりかねない」

 吉村知事は新型コロナウイルスの対応に重要な局面を迎えるとこれまで記者会見でも「専門家の意見を聞きます」と何度も述べているが、専門家会議はほとんど開催されていないのが現状だ。大阪府に取材すると、こう回答した。

「最高意思決定機関の対策本部会議の付属機関として専門家会議は位置している。スピード感をもって対策をやっていくということで、専門家会議が少なくなっているのは、事実。だが、対策本部会議では専門家の意見を書面で聞いて反映させている。対策本部会議にも専門家会議の座長に出席をいただいており、問題はないと考えている」

 現場に詳しい大阪府幹部はこう語る。

「吉村知事は迷った素振りを見せていましたが、まん延防止等重点措置を全国で唯一、大阪だけが延長となれば、悪い意味で目立ってしまう。大阪は全国でも突出して死者数も多い。迷ったが最後は政府に従うという風にして、好感度を維持したように思います」

(AERAdot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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