個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は、主演映画「さがす」について。
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ここのところ、友人や知人から頻繁に感想のメールが届く。なかには、長らく連絡を取り合ってなかった人からも。
なんとしても僕に伝えたいという気持ちがひしひしと感じられる、熱量が溢れる、その感想の数々。
素直に、そしてとびきりに、嬉しい。
僕が主演を務めた映画「さがす」。
感謝の一語に尽きるが、ロングランヒットを続けている。
こういう映画を見捨てなかった観客の皆さまに、心からの深い敬意と感謝を。
で、今日はこの映画に関して、というか、監督の片山慎三氏について書こうと思う。
ここ最近の私のコラム、精神年齢が8歳から6歳になってしまったとか、俺のドッペルゲンガーが現れたとか、睡魔に襲われながら人は文章を書けるのかとか、精神年齢が6歳から15歳に爆上がりしたとか、とても52歳が書いた文章とは思えないようなどうでもいいことを書いていたので、いや、とても52歳が書いた文章とは思えないようなどうでもいいことはこれからも書いていくつもりだし、それがアエラドットにおける唯一の俺の役割だと勝手に自任してるわけだが、ちょっとこのタイミングでこの映画の、片山監督のことを書いておきたいと思い。自分のために、そして引き続き、観客の皆さまにこの映画を育んで頂きたいと思い。
既にいろんなところで喋っているが、片山慎三とは実は20年前に一度出会っている。
BS-TBS(当時はBS-i)のドラマで、池内博之くんが主演した「アイノウタ」というドラマがあった。
僕は出演者として、片山は制作見習いとして、その作品で出会った。
当時片山はハタチそこそこの、右も左も分からぬ使い走りのような存在で、人というよりはほぼ猿と言っても差し支えないような若者だった。
ただ、俺に興味があるのか、よく俺に話し掛けてきて、その会話の返しなどが面白く、「君、オモロイな」と偉そうに片山に言っていた記憶がある。