ノーベル文学賞受賞作家アレクシエーヴィチの『戦争は女の顔をしていない』をひもときながら、ロシア文学者の沼野恭子さんが「多種多様な声を掬い上げ、いかに戦争が理不尽なことかを考えることが必要。一番大事なのはロシアに友人がいる、ロシアに関係する人を攻撃してはならないことだ」と語った。
宮城県七ケ浜町に住む染織作家コノネンコ真紀子さんはオンラインで出演、彼女の夫にはロシアとウクライナの血が流れている。
「中3と小6の息子はひょっとして差別を受けるかもしれない。『でも憎しみを受け止めて。あなたたちが悪い訳ではないのだから』と話しています」
番組後半に登場したカテリーナさんは「母がキエフからポーランドに逃げることができたと連絡があった」と胸をなでおろしながら「イマジン」を弾き語りした。「プーチンは止まらない。母国を地図から消そうとしている」
「反戦歌を流してどこまで意味があるのか、残念ながら答えはない。プーチンは我々を笑うかもしれないけれど、今こういう曲を聴きたくなるものです」。バラカンさんは揺れる絹糸のような滑らかな声で特番を締めた。
延江浩(のぶえ・ひろし)/1958年、東京都生まれ。慶大卒。TFM「村上RADIO」ゼネラルプロデューサー。小説現代新人賞、アジア太平洋放送連合賞ドキュメンタリー部門グランプリ、日本放送文化大賞グランプリ、ギャラクシー大賞など受賞。新刊「松本隆 言葉の教室」(マガジンハウス)が好評発売中
※週刊朝日 2022年4月8日号