新年度が始まった。国内の新規感染者数はピークは過ぎたものの、3月下旬から減り方が鈍っている
新年度が始まった。国内の新規感染者数はピークは過ぎたものの、3月下旬から減り方が鈍っている
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 オミクロン株BA.2への置き換わりが6割を超え、新規感染者が下げ止まっている。海外ではBA.1とBA.2の遺伝情報の一部が組み換わったハイブリッドの系統も見つかった。AERA 2022年4月18日号から。

【グラフ】オミクロンBA.2の広がり予測

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 なぜBA.2の方が広がりやすいのかはまだわかっていない。

 オミクロン株は、従来の変異株に比べて、多数の変異が入っている。特に、感染する際に最初にヒトの細胞に結合する、ウイルスの表面にある突起状の「スパイク(S)たんぱく質」のmRNAに変異が多く入っているため、従来のウイルスに比べて、Sたんぱく質の形が変わっている。

 既存の大部分のワクチンは、従来型のウイルスのSたんぱく質を攻撃する抗体ができるように設計してある。このため、Sたんぱく質の変化が大きいオミクロン株に対しては、効果が低下している。

 英HSAによると、発症を防ぐ効果は、ファイザー製ワクチンの2回接種後25週間以上経った時点で、デルタ株に対しては約6割あったのに対し、オミクロン株に対しては1割程度に低下していた。モデルナ製も、デルタ株に対しては8割程度維持されていた効果が、オミクロン株に対しては1割程度に低下していた。

英国で「XE」を確認

 一方、入院を防ぐ効果は、ファイザー製とアストラゼネカ製を合わせた分析で、2回目の接種後25週間以上経った時点で、オミクロン株に対しても44%の効果が残っていた。さらに、追加接種でファイザー社製ワクチンを打つと、追加接種の2~4週間後までは効果が90%、10~14週間後にも約75%に回復した。モデルナ社製を追加で打った場合、9週間後まで90~95%の効果に回復した。

 これらのデータは主にBA.1についてだが、英HSAやWHOは、ワクチンの効果についてはBA.2もBA.1と変化がないとしている。

 オミクロン株はワクチンが効きにくい一方で、感染しても重症化はしにくい。英インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの研究チームが21年11月22日~22年1月9日に感染した約152万人を分析したところ、オミクロン株に感染して重症化するリスクはデルタ株の0.41、死亡するリスクは0.31だった。

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