中国で今、最も人気のある日本人と言えば、やはりフィギュアスケートの羽生結弦選手(27)だろう。老若男女を問わず、過去にここまで中国で人気を集めた日本人スポーツ選手はいないはずだ。中国事情に詳しいライターの広瀬大介氏は最近の羽生の人気ぶりをこう紹介する。
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「北京五輪以降、ブームが冷めるどころか過熱化しています。5月28日の『日刊スポーツ』に羽生選手の写真が見開きで掲載されたのですが、知り合いの中国人留学生がその新聞を買いにコンビニやキヨスクを何十軒も回っていた。聞けば、中国のECサイトで高く売れるというのです。過去の羽生選手の掲載新聞には、1万円以上で売れたものもあると言っていました」
中国における羽生選手の過熱人気は、関連グッズの盛況ぶりにも表れている。関連グッズは中国ECサイトに数多く出品され、なかには定価の5倍~10倍で売買される商品もある。公式グッズだけでなく、ファンが自作したキーホルダーやTシャツ、写真集などもある。
「なかでも、女性の利用者が特に多い『 RED(小紅書)』と呼ばれるSNS型のECアプリでは、盛んに羽生グッズが売買されています。4~5月に東京で開催された『羽生結弦展2022』には、多数の中国人転売ヤーが出没して話題になりました。キーホルダーやトートバッグなどが、REDで軒並み定価の3~7倍の値段で売られているのです。さらに、羽生選手が今春から日本の高校生向け英語教材に14ページにわたって掲載されたことが中国メディアでも報じられると、ファンからは『中国人もこの教科書を購入できるのか?』という声が殺到し、こちらも現在、転売の対象になっています」(広瀬氏)
現在、Weibo(中国版Twitter)の非公式の羽生選手のファンアカウントのフォロワー数は280万人。閲覧数も1日あたり100万アクセスを超える異例の人気ぶりだ。羽生選手は5月末から6月19日までアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」に出演していたが、Weiboではリアルタイムで画像や動画が違法に共有され、「氷上では王者の貫禄がある。永遠に私の王子だ」「あなたのことを見ると元気に一日過ごせます。ありがとう」など、連日多くのファンが熱いメッセージを寄せていた。