ジャーナリストの田原総一朗氏は、公表されていない「バイデン・菅会談」について把握しているという。
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ウクライナ戦争が始まって、世界の情勢を見ていると、中立という立場を維持しにくくなっているようだ。
これまで中立を堅持してきたフィンランドやスウェーデンがNATOに加盟すると表明し、さらに、約200年間、中立を貫いてきたスイスまでもが、ロシアに対する経済制裁に踏み切っている。
そうした国際情勢の中で、さて、日本がどうするか、が世界中から注目されている。米中対立の中で、台湾有事となった場合に、日本がどのように行動するか、ということである。
安倍晋三元首相はかつて、「台湾有事は日本有事だ」と発言した。
米国の国防総省筋は、2024年、ないし25年に、中国が台湾に武力攻撃をするのではないか、と見ている。
その場合に米国はどうするか。当然、台湾を守るために中国と戦うだろう、と多くの日本人は捉えているのだろうが、実はそうではないのだ。
従来、米国の新大統領が就任すると、まず欧州首脳との会談が最初に行われることが多かった。ところが、バイデン大統領はいきなり米日首脳会談を行った。
すでに記したが、なぜこのような事態が生じたのかと言えば、バイデン氏が日本に特別の期待を抱いているためだ。実は、バイデン氏のホンネは、中国と戦いたくなかったのである。
公表はされていないが、私はそのバイデン・菅会談の内容について、わりと具体的に把握している。
バイデン氏としては、中国とは戦いたくなく、中国が台湾に武力攻撃するという事態が生じないように、日本に具体的に行動してほしい、と強く求めていたのである。
日本政府としては、表立ってではないが、それに応えるべく動いてきた。
だが、バイデン氏が5月23日の岸田文雄首相との会談のために来日する4日前、日本の安全保障に詳しい政治家から意外な情報を得た。彼はその前日に、米国防総省の幹部たちから詳しい話を聞いて帰国していた。