彼の話では、米国防総省はウクライナ戦争以後、戦略を変えたというのである。
国防総省は、核保有国は戦争を起こさない、つまりプーチンのロシアが戦争を起こすはずがない、と見ていた。核抑止力は機能している、と捉えていたのだ。
ところが、国連常任理事国であるロシアが戦争を始めてしまった。
となれば、中国の台湾に対する武力攻撃も当然起き、米国も中国と戦わざるを得なくなる。
バイデン氏は5月の米日首脳会談で、中国が台湾に武力攻撃した場合には米国は中国と戦う、と明言した。
その場合、日本はどうすべきなのか。日本も戦わなければならなくなる、という意見が多いのだろうが、私は断じてそれには同意しない。
日本としては、何としても中国が台湾を武力攻撃するような事態が生じぬよう全力を挙げるべきである。
私は、中国の習近平国家主席にそういう事態を生じさせないように説得することが日本にはできると考えている。そして、バイデン氏は現在でもそれを求めているだろう。私にはその確信がある。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2022年7月29日号