写真家・三好和義さんの作品展「日本の楽園島」が8月20日から東京・新宿のニコンプラザ新宿 THE GALLERYで開催される(大阪は10月開催予定)。三好さんに話を聞いた。
ぼくのライフワークである「楽園」をニコンZシリーズで撮り下ろした最新作です。「日本の楽園島」ということで、奄美大島から八重山諸島までの南西諸島を中心にした作品を展示します。作品は10年ぶりに全面刷新されたプリンター、エプソンSC-PX1VLでプリントしました。
作品のベースには常に「楽園」のイメージがあります。それは桜を撮るときも、富士山を撮るときもそうです。そのイメージは50年近く前、いちばん最初に宮古島に行ったときからすでにあったのだと思います。
中学時代、見習いの先生が宮古島の写真館の出身で、先生を訪ねてこの島に通いました。撮りためた作品を写真展「沖縄・先島」(1976年)で発表し、その後、写真家となり、ハワイやモルディブ、タヒチなど、世界中に「楽園」を追い求めました。
そういう意味では今回の写真展はぼくの原点への回帰といえるかもしれません。町は変わったけれど、自然は変わらなくてきれいだなと思いますね。
神がやってくる信仰の島。悪石島と久高島
今回の作品はすべて撮り下ろしで、取材回数は10回以上にもなります。これまでに何度も通ってきた島もありますが、宮古島と石垣島のほぼ真ん中にある多良間島には高校時代以来、数十年ぶりに訪れました。ここではお祭りを撮ったんですが、即席の舞台に獅子が出てきて舞うんです。観客は地元の人ばかりで、本当に島の素朴な祭り、という感じでした。
今回、初めて訪れた島もあります。そのひとつがトカラ列島の悪石島。この島の「ボゼ」をぜひ、見に行きたいと思っていたんです。
ボゼはお盆行事の締めくくりに現れる仮面神。長い鼻とギョロッとした目。縦じま模様の赤い顔。身にはビロウ(沖縄ではクバと呼ばれる)の葉をまとっています。
悪石島には空港がないので、船で行かなければならないし、行ったら行ったでなかなか帰ってこられません。天気が悪くなったら滞在が延びる。よほどスケジュールに余裕がないと行けない場所です。