街角にスクリーンを立て、国会審議の映像を流す。足を止めた人に向かって、わかりやすく解説する。そんな活動「国会パブリックビューイング」を行う著者が、国会を取り巻く状況を問題視し、この小さなメディアを立ち上げた体験を綴った。

 著者は労働問題を研究する大学教授で、メディア運営は専門外。2018年5月、「働き方改革関連法案」をめぐり、政府の論点をずらす不誠実な答弁をツイッターで批判し、「ご飯論法」という言葉が生まれるきっかけを作った。さらに国会審議の街頭上映を発案し、賛同者を集めて実現させた。上映により街角は、みんなで国会を見守り監視する場としての機能を持つようになったという。

 著者のノウハウが余さず記された本書は、小さなメディアによって発信を始めたい人にも薦めたい。(内山菜生子)

週刊朝日  2020年7月17日号