新コンセプト「N・N」(新しい日大)が書かれたプラカードを掲げる林氏
新コンセプト「N・N」(新しい日大)が書かれたプラカードを掲げる林氏

 日本大学の新理事長就任の記者会見が7月1日、大学内で開かれた。理事長に就いた同大芸術学部卒で作家の林真理子氏(68)。女性のトップは、日大の歴史上初めてだ。会見で林氏は「学生が肩身の狭い思いをしている。そういうことをなくしたい」と再生に向けた意気込みを語った。

【写真】酒井健夫・新学長

 日大は2018年のアメフト部危険タックル問題や、5期13年にわたり理事長を務めた田中英寿・前理事長の脱税事件など、不祥事が相次いだ。田中前理事長は21年、約1億2千万円の収入を申告せず約5千万円を脱税したとして所得税法違反の疑いで逮捕され、翌年、東京地裁で懲役1年執行猶予3年、罰金1300万円の有罪判決を受けた。

 このような事態を受け、日大は今年4月から、外部有識者4人と大学幹部2人からなる選考委員会(以下、委員会)を設置。新理事長の候補者選定を進めてきた。先月3日の理事会で、林氏を新理事長候補として決定した。

 委員会は選考理由として、「改革への高い志」や、田中前理事長の”独裁体制”を打破するための考え方や実行力をあげた。

 林氏は会見で、日大関係者へのお詫びを述べたあと、意気込みをこう語った。

「あくまでも大学のトップは学長。学長を支え、2人で進んでいく。雑用を一手に引き受け、学長には教学の面で力を発揮してもらい、私は経営の方に力を入れていきたい」

 続けて三つの柱として、(1)大規模な調査委員会の設置、(2)新たなコンセプトとしての “N・N”(=新しい日大)、(3)オール日大で改革していく姿勢を示した。また、日大が所有するコンサートホール「カザルスホール」(2010年に閉館)の改装をするという自身の考えも述べた。林氏は「卒業生の力も借りて、寄付を募っていく」とした。

 林氏は学生に向け、「学生からの声を吸い上げ、『日大に入ってよかった』と、日大に誇りをもてるようにしたい。学生さんには『よし日大を変えてみせる』という思いで学校に来てほしい。学生さんがどこにいっても肩身の狭い思いをしている。私のほうでそういうことをなくしたいと思っている」と語った。

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唐澤俊介

唐澤俊介

1994年、群馬県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。朝日新聞盛岡総局、「週刊朝日」を経て、「AERAdot.」編集部に。二児の父。仕事に育児にとせわしく過ごしています。政治、経済、IT(AIなど)、スポーツ、芸能など、雑多に取材しています。写真は妻が作ってくれたゴリラストラップ。

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