フュージョン料理を提供するレストランはイスラエル都市部で急成長しています。こうしたレストランのシェフになることは若者のあこがれとなっており、そのために欧州や米国の有名レストランで長い期間修行する人もいます。私のお気に入りは、エルサレム中心地のマハネイェフダ市場にある「Machneyehuda (マハネイェフダ)」というレストランです。素晴らしい料理だけでなく、祭りのような楽しい雰囲気も魅力の一つです。何週間も前に予約が必要な大変人気のレストランです。


モロッコから移住してきたお母さんの得意料理は北アフリカ風(テレアビブ近郊で、ニシム・オトマズキン撮影)
モロッコから移住してきたお母さんの得意料理は北アフリカ風(テレアビブ近郊で、ニシム・オトマズキン撮影)

 以前のコラムにも書きましたが日本食も大人気です。テルアビブだけでも200軒以上の日本食レストランがあり、人口一人当たり、東京とニューヨークに次いで寿司店が多い都市といわれています。私の姉はバトヤムというテルアビブ近郊の小さな沿岸都市で「タンポポ」という日本食レストランを経営しています。この町で4軒目の日本食レストランです。

 テレビ番組の影響も大きいですが、イスラエル経済が好調であり、国民に金銭的余裕ができたことが外食文化の成長を後押ししています。テルアビブやエルサレム、ハイファなどの都市部のカフェは、あらゆる年齢層の人々で賑わっています。イスラエルのカフェはスターバックスなどに代表されるようなカフェとは違い、様々な料理を楽しむことができます。外食をして新たな食にチャレンジすることは、イスラエル都市部の人々にとって人気のライフスタイルとなっています。

 料理は日本とイスラエルの変化を理解するのにどのように役立つのでしょうか。食への大きな関心はライフスタイルの変化としてとらえるといいでしょう。

 最後に私の個人的な感想ですが、日本人は食に関して世界で最もオープンで好奇心旺盛な人々です。例えば見知らぬ食べ物でも、見た目や好き嫌いに関係なく日本人は必ずチャレンジしていました。一方イスラエル人は、前述したように外国の食べ物の影響を大きく受けているとは言え、日本人と比べるとまだまだ保守的です。

Nissim Otmazgin(ニシム・オトマズキン)/国立ヘブライ大学教授、同大東アジア学科学科長。トルーマン研究所所長
Nissim Otmazgin(ニシム・オトマズキン)/国立ヘブライ大学教授、同大東アジア学科学科長。トルーマン研究所所長

○Nissim Otmazgin(ニシム・オトマズキン)/国立ヘブライ大学教授、同大東アジア学科学科長。トルーマン研究所所長。1996年、東洋言語学院(東京都)にて言語文化学を学ぶ。2000年エルサレム・ヘブライ大にて政治学および東アジア地域学を修了。07年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修了、博士号を取得。同年10月、アジア地域の社会文化に関する優秀な論文に送られる第6回井植記念「アジア太平洋研究賞」を受賞。12年エルサレム・ヘブライ大学学長賞を受賞。研究分野は「日本政治と外交関係」「アジアにおける日本の文化外交」など。京都をこよなく愛している。

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