■京の色に物語を込めて ころんと転がるだるまのラムネ風菓子
だるまの形をしたお菓子を探していたところ、偶然見つけたのが「といろ」の「京だるま」。干菓子用の木型を使用し、連綿と受け継がれてきたお干菓子の技術を活かしたイチゴ味のラムネ風菓子です。小さなだるまさんがころんと転がる姿も愛らしく、口に含むとほろほろとしたお干菓子のような新食感で、イチゴの濃い味と甘酸っぱい風味が口の中に広がります。
「といろ」は、「十人十色の思いを届けるための和菓子」をコンセプトに、2018年にジェイアール京都伊勢丹地下1階にオープンした、1755(宝歴5)年創業の老舗「京菓子司 俵屋吉富」の新しい和菓子のカタチです。昔から愛されてきた干菓子、琥珀や松露など和菓子をベースに、フルーツを組み合わせて爽やかな味にしたりと、創意工夫が施されています。「といろ」と読める水引のデザインが施された小さな箱は、人と人とを繋げるようなお菓子にしたいという思いから。両手に収まる小箱は、京都の色が詰まった宝箱のようで、誰かにそっと贈りたくなります。
■京の路地裏 風情ある辻子(ずし)に佇む木版画工房
京都には数々の辻子(ずし)と呼ばれる、通り抜けが出来る細くて小さな路地があります。往来の賑やかな四条通から綾小路通を結ぶ膏薬辻子(こうやくのずし)は、石畳の風情ある路地。この地で空也上人が平将門の霊を鎮めるため供養したと伝わっており、空也供養(くうやくよう)が訛って膏薬と呼ばれるようになったと言われています。この路地奥の町家に木版画工房「竹笹堂」があります。古くから受け継がれる印刷の技術と言えば「木版印刷」。その歴史は約1300年と言われています。手仕事から生まれる木版は、和紙の上に表されたかすれや色の層の重なりが味わい深く、温もりを感じます。
竹中木版6代目摺師の原田裕子さんは、木版画家であり、図案を起すデザイナーでもあります。店内には一枚ずつ職人さんによって手摺りされた木版画作品から葉書、ノート、便箋などの和紙文具など、和の模様から愛らしいモチーフまで多種多様なアイテムが並び、ずっと座り込んで見ていたくなります。今回は“達磨寺”にちなんで、赤く丸いほっぺが微笑ましいだるま柄のカード類をセレクト。願いをだるまのポケットに記し、叶えたら顔に目を入れるという木版画のプチカルテは、節分の季節の贈り物に添えたくなるカードです。