フサオマキザルの子どもが緑色のアクリヤシの実を取り、食べようとしている。サルは手を使って食べるので、どこか人間のようで、見ていて飽きない。
ここへは3、4回通っただろうか。この辺りのフサオマキザルは人を見ることに慣れており、近づいても極度に緊張したり、瞬時に逃げたりしない。おかげでかなり近くまで寄って撮ることができた。
撮影をするのはたいてい夜と朝のはざま、動物たちがもっとも活発に動く早朝だ。このときは、木の幹を背景にサルと実だけが浮き上がって見えるよう、朝日が差し込む瞬間を待ってシャッターを切った。
写真・文=岩合光昭
※『アサヒカメラ』2019年9月号より抜粋