パンタナールの源流が見たくて、ノブレスという町へ行った。そこで滝をさかのぼって水源の近くまで行くと、川の透明度は信じられないほど高くなった。 ここでは、ピラプタンガと金色のドラードという魚が有名だ。面白いのは、ときおりピラプタンガも金色に変わること。ドラードは強い魚なので、ピラプタンガは自分の身を守るためにときおりドラードに擬態するのだ。
写真を撮った場所は水深3~5メートルくらいだが、川底までしっかりと見える。 川の流れが速いので、画面が動かないよう流れの緩やかな場所を探して体を固定し、カメラにハウジングをつけて半水面、半地上で撮影した。水温は19度くらいだったのでけっこう寒い。厚めのウェットスーツに手袋をして水の中にいたが、30分もしないうちに指先はしびれていた。
写真・文=岩合光昭
※アサヒカメラ2019年7月号から