パンタナール南部の湖畔でカピバラを撮影していると、雨が降ってきた。とっさに雨を写し込みたいと思い、地面にはいつくばって暗い森を背景にしてカピバラの子どもを撮った。
背中の毛がピンと立っているのは、冷たい雨に体温が奪われないよう、毛に空気を含ませているのかもしれない。ちなみに、この辺りの草は広範囲にわたって、カピバラに刈り取られていた。緑にまざって茶色い草がちらほら見えるのは乾期だからだ。
カピバラはたいてい家族の群れで移動する。このときも近くに10頭くらいのカピバラがいた。父親たちはたいてい“イクメン”で、子どもたちの面倒もよく見て、天敵が現れるとまず母子を逃す、とても頼もしい存在だ。
写真・文=岩合光昭
※アサヒカメラ2019年6月号より