オードリー・タン氏
オードリー・タン氏

 台湾におけるコロナ対策の成功で一躍有名になったデジタル担当大臣オードリー・タン氏は、ASD(自閉症スペクトラム障害)の傾向がある天才。ASDの中には、数字に非常に強かったり、記憶力が極めて高かったりという人が存在しています。

AERA 2022年12月19日号より
AERA 2022年12月19日号より

■天空から俯瞰して見る

 普通の人と何が違うかといえば、その「視点」です。我々が水平に見るところを、ASDの人は天空から俯瞰(ふかん)して見る「神の視点」を持つことがあります。

 ASDの視覚認知の特性は、烏山病院で行っている「アイトラッカー」による視線計測の研究からも裏付けられます。我々は対話の場面で人を中心に見ますが、ASDでは、人も壁も机も同じように見る傾向があります。相手の目や口に集中することなく、視界全体を同じように見ており、周囲の認知の方法が通常と異なっているのです。

 オードリー・タン氏は、IT技術を駆使しマスクの増産と適正な配分、買い占めの防止、購入履歴の管理などを行い、台湾でのマスク不足を未然に防ぎましたが、これは全体を俯瞰するASDの独特の視点が生きた例といえるでしょう。

※「アスペルガー症候群」とは知的障害や言語発達の遅れがみられない発達障害の一つ。現在の診断基準では自閉症スペクトラム障害に含まれた概念となっている

(構成/ライター・黒坂真由子)

AERA 2022年12月19日号より抜粋

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