2019年の関東の桜は今週末が満開を迎えるところが多そうだ。われわれが「桜」という場合、ほとんどがソメイヨシノの開花を指しているが、カワヅザクラなどは2月くらいには咲き終わるし、カンザンなどは5月近くまで咲きほこっている。花見に行く場所によって、時期を選定しないと見頃を逸してしまうので、注意が必要だ。
とはいえ、現代の桜の多くはソメイヨシノが中心なのでお花見の「開花情報」もソメイヨシノ一色である。今回は、神社仏閣における桜の見どころをいくつかご紹介してみたい。
●なんといっても「新倉山浅間公園」
海外からの観光客にも大人気の桜のスポットといえば、「新倉山浅間公園(あらくらやませんげんこうえん)」だろう。ミシュランガイドの表紙になったことでも名を知られたこの場所は、河口湖と山中湖の間の山梨県富士吉田市にあり、富士急行や中央高速道路富士吉田線にも近く交通の便がいいことも手伝って人気はうなぎのぼりだ。
武田信玄が戦勝祈願をしたことでも知られる「新倉富士浅間神社」の桜とその裏手になる「新倉山浅間公園」の桜が、富士山と神社にそびえる忠霊塔と相まって美しい景色を見せる。今年も4月14日(日)まで新倉山では桜祭りが、また浅間神社では大祭が行われる。
祭神の木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)は、富士山の神であり、桜の神さまとして知られている。富士山と桜と忠霊塔を眺めるスポットへは「新倉富士浅間神社」を抜け、祭神名をかけて「さくや姫」階段ともよばれる階段を上る必要がある。ちなみにこの階段の段数は398段あるらしい。
●樹齢2000年の「神代桜」
日本で最古・最大級の巨木「神代桜」は、山梨県北杜市にある実相寺の境内にあるエドヒガンザクラだ。高さは10.3メートル、幹まわりは11.8メートル、枝の広がりは17.3メートルにも及ぶ。
お寺の伽藍(がらん)が2度の火災にあい現在に残る寺宝はないが、国指定の天然記念物である神代桜は最盛期には枝の広がりが30メートルを超えるほどであったという。元は真言宗のお寺であったが、室町期に日蓮宗に改宗、川中島の合戦時に武田信玄が武運長久の祈願をしたことでも知られている。
境内には、「神代桜」のほか、身延山から移された桜や若田光一宇宙飛行士とともに約8カ月間無重力の宇宙で過ごしたのち、地球に戻った「神代桜」の種子が芽吹き育った「宇宙帰りの神代桜」も。この「宇宙帰り」の桜からは、通常は5枚であるはずの花びらが6枚のものが見つかったのだとか。