●過去の「努力」「能力」が報われてもいいのではないか
一方、日本でも子どもを小学校から塾へ通わせ、偏差値の高い大学へ入れようとする。十分なお金と時間をかけたとしても、東大や京大に入れる人は一握り。そこまでして有名大学を卒業したとしても、ほとんど無試験で入学できるような大学を出た人とも、同じ初任給であることが普通だ。もちろん、優秀な大学を出たからと言って仕事ができるとは限らない。また優秀ではあっても、偏差値の低い大学からはなかなか一流企業に入社できないという現実はある。
しかし、学歴をこれだけ重視する社会であるならば、「優秀な大学を卒業した」という過去の「努力」「能力」は、初任給で報われてもいいのではないかとも思える。企業に入社してからは、それ以降の努力や能力で「値決め」をされればいいのだから。
企業がそうしないことの理由の1つは、やはり大学の教育が信用できないという本音が、根底にあるからではないか。「どうせ大学での勉強なんて社会に出れば役に立たないのだから、入社後に会社が一から教育してあげよう」というスタンスの表れにも感じる。
さりとて、企業の一律初任給に対して東大が抗議したという話も聞いたことがないので、ことさらこのような話を強調する必要はないのかもしれない。
●IT企業を中心に変化の兆しもヤフーが壊す「横並びスタイル」
そんななか、学歴の高低に直接関係はないものの、過去の「努力」「能力」といった個人が納得しやすい評価軸で初任給を見直したのが、ヤフー ジャパンである。給与水準を上方修正しながらも、一律ではなく「ポジティブな意味での格差」を設けたケースだ。
ヤフーは今年から、18~30歳の新卒・既卒のエンジニアに対し、以下の条件を満たした場合に、エンジニアスペシャリストコースとして、年収650万円以上を提示していることを明らかにした。以下に概要を紹介する。