漫画家&TVウォッチャーのカトリーヌあやこさんが、「飯尾和樹のずん喫茶」(BSテレ東 金曜24:00~)をウォッチした。
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「喫茶店が大好き!」、お笑いコンビ「ずん」の飯尾和樹が昭和レトロな喫茶店をめぐる番組。
レトロ喫茶、飯尾さん、BSテレ東という、これぞテレビ界の路地裏オアシス。心のスキマを埋めてくれる黄金のトライアングルだ。
あなたの町にもきっとある「ずん喫茶」。ランチメニューが壁のホワイトボードに書いてある。ハンバーグにみそ汁が付いてくる。スプーンが紙ナプキンで包まれている。
クリームソーダに赤いさくらんぼのワンポイント、プリンは硬め。カウンターの中にはエプロンをしたマスター、もしくは時を経て顔がそっくりになった夫婦が居る。
そんな店を訪れる飯尾さんの目の付けどころが、「そこ?」っていうミクロ加減で好き。例えば店の入り口のドアノブ。「よく使うんですね~、ここだけ」と、握る部分がテカっていることを指摘。
椅子の背もたれの擦れや、ソファがビニールテープで修復されているのも見逃さない。壁のシミを見れば「ちょうどサラリーマンの後頭部が当たるところですよ!」と、彼らの憩いのひとときに思いをはせる。
いわゆるグルメ番組というか、その町や店、そこで働く人たちのヒストリーがメイン。お店のご夫婦のなれそめなどを聞きつつ、ちょいちょい飯尾さん自身のヒストリーも明かされる。
池袋では、かつて立教大学を受験した飯尾さんが英語の試験の1行目「One day」しか読めずに帰ったことを告白。
学芸大学駅では、清水池公園で釣りした帰りに松田優作を見かけたこと。
御徒町は、高校の時、出席番号1番(飯尾さんは2番)だったアイダくんが住んでた町だと知る。
と、だいたい知らなくても全然大丈夫な飯尾和樹・思い出の歴史が、どんどん蓄積されていく。