101話の場面から(C)NHK
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 やなせたかしさん、小松暢さん夫妻をモデルに、苦悩と荒波を越えて「アンパンマン」へ至る軌跡を描くNHK連続テレビ小説「あんぱん」(毎週月~土曜午前8時NHK総合ほかにて放送中)。第21週(101~105話)は、いせたくや(大森元貴)が嵩(北村匠海)の書いた詩にメロディーをつけた「手のひらを太陽に」が、子どもたちの間で人気になるが、嵩は漫画とは向き合おうとせず。この状況にのぶ(今田美桜)と嵩の気持ちがすれ違い、のぶは家出をする……という内容だった。

【写真】のぶ(今田美桜)の妹・蘭子を演じるのはブレークしたこの人(左)

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「なんでも屋」になった嵩

「手のひらを太陽に」は白鳥玉恵(久保史緒里)によって歌われ大ヒット。「ぼくらはみんな生きている。生きているからかなしいんだ」という歌詞は、多くの人の心を掴んだ。
しかし、その頃、のぶは会社から「女子社員は若くて素直が一番。結婚したら家庭に入るもの」という理不尽な理由でクビにされてしまう。のぶは「みんな自分の夢を追いかけてちゃんと夢をつかんだ。うちは何しよったがやろ」と、嵩の鉛筆を削ることしかできない現実に悩む。
嵩はNHKの「まんが教室」という番組に出演するなど「なんでも屋」として、仕事の幅を広げていく。成功したように見えるが、本当に描きたい漫画から逃げているという後ろめたさを感じている。一方、のぶはどんどん縮こまっていき、2人の気持ちは離れていく。

 嵩の戦友で東京生活でも世話になっている八木(妻夫木聡)が会社を設立し、のぶと嵩が、祝いにかけつける。そこで八木はのぶに、「(嵩が)天才に化けるか凡人で終わるかは、苦しくても続ける努力ができるかどうか」と語る。嵩の「なんでも屋」ぶりを心配して、のぶが「最近の嵩さんはおかしい」と言うと、嵩は「(漫画を)描けないんだよ。才能がないんだよ。ほっといてくれ!」と爆発。のぶは向かいに住む妹の蘭子(河合優実)の部屋へと、近距離家出を決行した。
家出中に嵩の母・登美子(松嶋菜々子)から、嵩の名前の由来が山にあると聞いたのぶは、山に登ってみようと思い立つ。山に登ったのぶは自身と向き合い、「教師も代議士の秘書も会社勤めも、何ひとつ、やり遂げれんかった。うちは何者にもなれんかった」と涙を流す。
一方、嵩は1人の自宅で、「本当に描きたいものは何?」というのぶの言葉に触発され、久々に漫画を描き始める。それは「あんぱんを配る太ったおじさん」の物語だった。

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