ものまねタレントのレジェンド、コロッケは「情熱大陸」で引退危機を吐露
ものまねタレントのレジェンド、コロッケは「情熱大陸」で引退危機を吐露
この記事の写真をすべて見る

 コロッケと言えば、言わずと知れたものまね界のスーパーレジェンド芸人である。老若男女を問わずあらゆる人を巻き込んで爆笑させるそのパフォーマンスは、達人の域に達している。若い世代に人気のあるアーティストを率先して真似ることもあり、題材や表現を常にアップデートし続けている。名実ともにものまね界のトップに君臨する存在だ。

【写真】地上波で見ないのに「年収2億円」のお笑いコンビはこちら

 そんな彼が人知れず危機に陥っていたことがあった。8月17日放送の『情熱大陸』(MBS、TBS系)では、そんなカリスマ芸人の舞台裏の様子を映し出していた。番組スタッフが取材を始めた今年5月、コロッケは入院していた。2月に両膝に人工関節を入れる手術を行い、療養生活を送っていたのだ。約2カ月間の休業を経て、5月には復帰のステージに立った。リハーサルでは不安を隠しきれない様子だったが、何とか無事に公演を終えた。公演後の楽屋でカメラを向けられたコロッケは、言葉を詰まらせて、涙を浮かべた。

「……もうね、できないかと思ってたんで。そう思ってた時期もあったね」

 入院中は引退を考えるほど精神的に追い込まれていたのだという。絶望の淵に立たされながらも、彼は再び這い上がってきた。7月17日にはソロコンサートが行われ、落語の「初天神」という噺にものまねの要素を入れたオリジナルの新ネタを披露した。

 ゲストは後輩芸人のキンタロー。だ。強烈無比なキンタロー。の顔面デフォルメ芸は、コロッケから強い影響を受けている。そして、彼女のものまねレパートリーの中にはコロッケのものまねもある。この日の舞台上では「Wコロッケ」が共演する場面もあった。

ものまね哲学「目で聞く、耳で見る」

 コロッケのものまねは、人並み外れた観察力と想像力をベースにしている。番組内で語られていたコロッケのものまね哲学は「目で聞く、耳で見る」というものだ。あまり語られていなかったことだが、実はコロッケは中学生の頃に中耳炎で右耳の聴力を失った。その代わりに、彼は目を閉じて聞こえてくる音に耳を澄ませて、想像を膨らませていたのだ。この声の主は男なのか、女なのか。雨が降っているのか、いないのか。想像力の翼を広げることで、聞こえないものまで聞こえてくるし、見えないものが見えてくる。

次のページ 唯一無二のものまね芸が生まれる