
同じ話を繰り返す母にイライラしたことも
子どもは少しずつできることが増えていきますが、介護は少しずつできなくなっていくのを見守ることになります。だからこそ、「耐える力」も必要になってきます。
母は晩年、同じ話を繰り返すようになりました。
「あなた、子どもは何人?」と何度も聞かれ、「3人の男の子です」と答えると、「女の子はいないの?今からでも産めば?」と。「60歳を過ぎているので無理ですよ」と返すと、「あら、それは無理ね」と笑い、15分後にはまた同じ会話。

最初は少し寂しかったし、「さっき話したばかりなのに」と、イライラすることもありました。でも途中から、「この話をしている母が楽しければ、それでいい……」と思えるようになったのです。
母がその5分、10分だけでも楽しく過ごせるなら、それが何度繰り返されても、一緒に楽しめるようにしよう、と。
小さい頃に、母がしてくれたように
そう思うようになってから、心がすごく楽になりました。それから、母に歌を歌ってあげると、とても喜びました。私が小さい頃に、母がしてくれたように。
何曲も歌ってあげて、終わりにしようとすると、「もっと歌って」というかのように手をギュッと握ってきます。
そんなときはまるでミニコンサートのように歌い続けました。母が笑ってくれて、嬉しそうにしてくれる─そんな日は、私も一日中、晴れやかな気分で過ごすことができました。
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