『子どもが本当に思っていること』(日本実業出版社)の著者で、精神科医のさわ先生。自身も小さいころから優等生として過ごしながら、漠然と「生きづらさ」を感じていたといいます。医師になることを強くすすめる母の意向に従い、受け身の人生を生きてきたなかで、どのようにして自分の人生を取り戻したのでしょうか。子育て・教育情報誌「AERAwithKids 2025年夏号」(朝日新聞出版)で花まる学習会代表 高濱正伸先生がホストになって対談を行う連載「もっと花まるTALK」から紹介します。※後編<子どもへの過干渉、愛情とどう違う? 児童精神科医さわ先生がすすめる「声がけ」とは>に続く

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「ザ・優等生」だった子ども時代 ずっと生きづらかった
カンニングもたくさんした。でも成績は上がらなかった
「愛する子どものためにいい人生を」は一番の落とし穴

「ザ・優等生」だった子ども時代 ずっと生きづらかった

高濱:さわ先生の本、評判ですね。子どもの心の声で構成されていますが、実際には親御さんにやさしく寄り添っているので、これを読むと、みなさんは安心するんじゃないかな。

さわ:子育て中のお母さんは何かしら不安を抱えている人が多いんです。

高濱:僕のまわりのお母さん方も、いい母であろうとがんばりすぎて、結果、子どもの主体性を奪ってしまっているようなところがある。心配性で過干渉な親がとても多い。

さわ:よかれと思ってしていることが、かえって子どもの生きづらさにつながっていることってありますよね。

高濱:さわ先生は、まさしくそういう子ども時代を送ってきたんですよね。

さわ:はい、典型的な優等生でした。開業医の父と薬剤師の母の間に生まれて、習い事もいっぱいしたし、低学年から進学塾にも通っていました。自分が医者になりたかった母は、私に医者になることを強くすすめていました。

高濱:一人っ子だったんですか。

さわ:いえ、3人きょうだいの末っ子です。姉は母にすごく反抗していたこともあり、それを見ていた私は、言うことを聞くほうを選んだところがあります。

カンニングもたくさんした。でも成績は上がらなかった

高濱:きょうだいが反面教師になるというのは、あるあるですね。

さわ:最初は良かったんです。もともと“陽キャ”なので友だちもたくさんいたし、習い事も面白かったし、勉強も楽しかった。小4のとき全国模試で1位になったときは、親も私も本当に喜んで。

高濱:全国1位とはすごいですね!

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篠原麻子
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