「大変ですね」
「虫もすごい」
「やっぱり」
「一席やると、何匹か食ってるな」
「口に入りますか?」
「入るね、向こうには気の毒だけど」
「虫だって食べられたくないでしょうにね」
「あと、音がな」
「音?」
「周りの雑音がワーワー聞こえてくんねん。落語の最中に、路上でやってるどっかの国の謎の音楽が『聞こえる』なんてもんじゃない。飛び込んでくる」
「大変ですね」
「『大変』なんてもんやない。やっとれん」
「お客さんはいるんですか?」
「暑いからなー、いたりいなかったりやな」
「お客さんも外?」
「そらそうや」
「お客さんも暑さと風と虫と音に耐えながら聴くんですかね、大変ですね」
「『大変』なんてもんやない。聴いとれんやろな」
「笑うんですか?」
「笑ったり、笑わなかったりや」
「笑うんだ」
「ヤケクソやろな」
「あー、誰が幸せなんですか? それ」
「んー、わからん」

 というように、屋外での落語もやってるらしい。だいたい噺家って昔からそういう扱いをされがちだ。

 「ここで出来るでしょ」「大丈夫大丈夫」「みんなやってるよ!」てなかんじでそんな仕事がまわってくる。

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