
元朝日新聞記者でアフロヘアーがトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。
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ルワンダ滞在4日目。いよいよナオミちゃんと対面。
首都から3時間半バスに揺られて会場のホテルに到着すると、付き添いのお父さんと一緒に待っていてくれたのは写真からの想像より小柄で小顔で瞳輝く可憐な10歳であった。挨拶するとニコニコ近づいてきて、ハグをして、耳元で歌を歌ってくれた。ナオミという単語が聞こえた。
自己紹介を兼ねた挨拶の歌。たぶんこの日のために練習してきてくれたのだ。ドギマギしつつおばさんは嬉しい。っていうかありがたい。
だがその数十秒の歌が終わると、後はおばさんの責任である。残る数時間を何とか持たせねばならない。
現地のNGOスタッフが通訳してくれて、貧しい英語力で必死に会話。だがお互い緊張して話が弾まない。科学の勉強が好き。将来の夢は医者……手紙に書いてあったことの確認で時が過ぎる。