
ドナルド・トランプ氏が2度目の大統領に就任してから、まもなく3カ月が経とうとしている。議会や選挙ではアンチ・トランプの動きが出ている。AERA 2025年4月21日号より。
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4月5日、全米で約500万人もの市民が「ハンズ・オフ(干渉するな)」というデモに参加し、反トランプを訴えた。
昨年11月にドナルド・トランプ氏が大統領選で勝利した後、初となる大規模デモだった。デモの主催者によると、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴなどの各地で1500のデモが計画され、自主的に行われた小さな集会も数百件あったという。
ドキュメンタリー映画監督のマイケル・ムーア氏は、ブログにこう綴った。
「市民が立ち上がる時というのは、みんなが『もうたくさんだ!』と叫びたい時なんだ」
トランプ氏は2度目の大統領就任後、労働力を下支えする不法移民の強制送還、大学に対する言論弾圧、相互関税の大統領令など市民生活を圧迫する政策を打ち出している。
批判の演説は25時間超
トランプ氏への監視機能を果たしていないと批判される連邦議会でも動きがあった。
野党民主党のコーリー・ブッカー上院議員(55、ニュージャージー州選出)が1日に、25時間4分に及ぶマラソン演説を行ったのだ。ブッカー氏は「米国は重大、そして差し迫った瞬間を迎えた」などとトランプ氏を徹底的に批判した。
「(就任して)71日間しか経っていないのに、米大統領は治安、金融・財政の安定、民主主義のコアの礎(いしずえ)に害を与え続けてきた」とブッカー氏。前日から夜通しで演台に立ち続け、トイレにも行かなかった。内容について、側近は1100ページ以上の文書を準備したが、彼は聖書1冊だけを上着のポケットに入れ、演説に臨んだという。演説によって、共和党が過半数を占める上院の議事を1日以上遅らせた。
トランプ氏が大統領に就任して以来、「民主党は野党として機能していない」などと批判されてきた中、ブッカー氏は立ち上がった。