朝5時に目覚めたらすぐにやること

 酒向先生に教えてもらったのは「認知症にならないようにするには高齢になる前から、どういった生活を送ればいいか」だ。

 具体的には一日の過ごし方だ。加えて食事の内容、酒タバコなどの嗜好品との付き合い方、ウォーキングなどの運動、入浴、睡眠など、対人関係、ペットとの関係……。生活のあらゆる面で認知症にならないためのアドバイスをもらった。

 まず、酒向先生に仕事と生活の時間割を訊ねた。

なるほど彼は「これなら健康そのもの」という生活を送っている。

 毎朝、起きるのは午前5時だ。そして、起きたらすぐ風呂に入る。

 「妻は夜に入りますが、私は朝風呂です。湯の温度は36度くらいです。そして、追い炊きを10分。湯の温度を42度にあげます。至福の時です。湯上りには妻がヘアアイロンで髪の毛を整えてくれます」

 風呂に入る時は必ず入浴剤を入れる。肌が弱いため保湿が必要なのだ。水道水で肌がかゆくなる人は入浴剤を使ったほうがいいと先生は言う。

パートナーとの会話が脳を活性化させる

 湯上りに髪の毛を整えてもらいながら、妻と会話する。これも重要だ。認知症にならないためには夫婦、パートナーとの親愛のコミュニケーションが不可欠なのである。夫婦、パートナーが冷え切った関係になってしまうと、ストレスがたまる。それはよくない。

 入浴の後、麦茶、ブラックコーヒー、加えて少量のブラッドオレンジと牛乳をとる。朝はそれだけで固形物は食べない。

 酒向先生は16時間の糖分の断食によるケトジェニックダイエットで体内の脂肪を燃焼させている。

 午前6時30分に自宅を出て、徒歩、電車、バスを利用し、7時30分にねりまの病院に到着する。

 そのまま仕事に突入だ。老健、および病院の回診から始めて、午前中は15分の病院運営会議を終え、新患外来の診療で忙しい。

 正午には検食。病院で出している昼食を食べる。おいしい。しかし、ご飯をお代わりすることはない。

 12時45分から15分間は入院判定会議を行う。入院判定会議とは、月に60~70件ある患者の紹介案件のうち、誰を受け入れるかを判断する会議だ。

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