AERA 2025年2月3日号より

敵はハルの「原点」

――今回、ハルたちがマネーゲームを仕掛けるのは世界のカジノ王、ウルフ・リー(石橋凌)。ミステリアスで底知れない闇と凄みを背負ったウルフは、過去最大の難敵としてハルたちの前に立ちはだかる。

目黒:石橋さん演じるウルフというキャラクターはハルと過去に接点がある人物なんです。ハルの原点というか、もしウルフがいなかったら今のハルができあがるために必要なピースが欠けたままになっていたんじゃないかという人で。だから、徹底的にやり合いながらも、ハルとしてはどこかにリスペクトや感謝の気持ちみたいなものを持っていると思うんです。特に最後の方のシーンではそこを強く意識しながら演じました。

 石橋さんとは緊張感のあるシーンでご一緒することが多かったですが、石橋さんだから作り上げられるウルフというキャラクターの深みとか、かっこよさ、お芝居からも学ぶことばかりでした。本当にいい刺激をいただいて……でも石橋さんご本人はめちゃくちゃ優しくてすごくユーモアもある方なんです。待ち時間とかに、石橋さんの俳優人生のなかで起きた「え、マジでそんなことがあったんですか!?」みたいな貴重な体験談をお話ししてくださって。その内容が興味深すぎて、途中からは佐野くんと一緒にこちらから聞きに行ったりもしていました(笑)。今後の僕の人生において、間違いなくためになる話を聞かせていただいて、裏の会話でもたくさん学ばせていただきましたね。

星を見て「ふわぁ~」

――劇中、ハルたちは岡山の離島でカジノリゾート開発に挑むが、そのシーンの多くは本物の島で撮影を行った。自然が大好きな目黒にとって、それは癒やしの時間となった。

目黒:現場に行くのも船で行くし、撮影終わったらまた船で帰るんですよ。それはなかなかない経験で貴重だし、自然が大好きな身としてはすごく楽しかったです。夕日が少しずつ落ちていく時間に船に乗って帰ってくることもありましたし、逆に真っ暗な中を船で帰ると、星が綺麗に見えて。なんかちょっとこう「ふわぁ~」という、心が軽くなる感じになったりもして(笑)。

 そう、島でお昼ごはんを食べるときは島のご飯屋さんが作ってくれるお弁当が出るんですけど、ちっちゃい別のパッケージにタイのお刺し身とかがついてきたりするんです。僕はそういうのが大好きなので「うわ~、島ならではだなぁ」とテンションが上がりました。

 また、島の中には僕好みの風情がある小道がたくさんあるんですよ。船で着いて撮影現場まで歩いていく間にも思わず曲がりたくなる小道がいくつも出てきて……時間がない中で撮影しているので、横道に逸れる余裕がないのはよくわかっているんですが、本当に何回か「もう曲がっていっちゃおうかな」と気持ちがふらついて迷った瞬間がありました(笑)。

(構成/ライター・大道絵里子)

AERA 2025年2月3日号より抜粋

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