扉をこじ開けた外圧
喜多川氏による性加害問題も中居正広の問題も、週刊誌報道が出てから、当事者やテレビ局は前述のとおり、「沈黙」していた。その後、方針を転換して記者会見を開いた背景には、「海外からの圧力があったから」だと海外メディアは報じる。
Financial Timesは、フジテレビの「控えめ」な反応が変わったのは、フジテレビの親会社フジメディア・ホールディングス(HD)の株式を約7%以上保有する米ヘッジファンド、ダルトン・インベストメンツ傘下のライジングサン・マネジメント(RSM)の代表の「憤慨」があったと指摘している。
RSMは1月14日、フジメディアHDの取締役会に「第三者委員会の設立と信頼回復を要請」する書簡を送った。
<この問題への対処の遅れやあいまいさは、視聴者の評価の低下やスポンサーの離脱を招き、株主価値をさらに損なう可能性があります<(RMSの書簡)
英The Independentは、記者会見が「火に油を注ぐ結果」と報じた。
<「広告危機」が勃発し、山火事のように燃え広がった>(Times of India)
1月21日、RMSは再度、フジメディアHDに次のような書簡を送っている。
<前回の警告が現実のものとなり、私たちは驚いています。このような曖昧模糊(あいまいもこ)とした対応は、フジメディアHDの隠蔽体質を露呈しているとしか思えません>
芸能界は「報い」に直面
RMSは2回目の書簡で4つの要求を出した。
①すべてのメディアが参加できる記者会見を開くこと②日弁連のガイドラインに沿った第三者委員会を設置すること③調査は中居氏に限らず、範囲を広げること④遅くとも今年6月に開催されるフジメディアHDの株主総会の1カ月前までに最終報告書を提出すること。
フジテレビとフジメディアHDは23日、臨時の取締役会を開き、日弁連のガイドラインに沿った第三者委員会の設置を決定した。1月27日にオープンな記者会見を開く。
今後の対応次第では、CMスポンサーの撤退だけでなく、SDGs投資の観点からも深刻な影響が出るとRMSは懸念する。
BBCは、「日本の芸能界は、長らく語られることのなかった性的暴行事件の報いに直面している」と見る。
記者会見のゆくえを、全世界が注視している。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)