体調を崩しやすい冬。元気に過ごすポイントになるのが「免疫」です。免疫は体を守る防御システム。免疫の仕組みについて、長崎大学医学部小児科学教室主任教授の森内浩幸医師に聞きました。子育て情報誌「AERA with Kids2024年冬号」(朝日新聞出版)からお届けします。

MENU 冬に体調を崩しやすいのはなぜ? そもそも免疫って何? どうやって体は守られているの?

冬に体調を崩しやすいのはなぜ?

 冬はウイルスや菌に感染しやすくなる季節です。

「理由はふたつあります。ひとつは、ウイルスが広がりやすい環境になること。もうひとつは、人の鼻やのどの粘膜などが冷えて乾燥しやすくなり、防御力が低下しがちになることです」と語るのは、小児科医の森内浩幸医師。

 発熱やせき、鼻水などの体調不良を引き起こす原因となるウイルスは200種類以上あります。多くのウイルスは気温が低く、空気が乾燥した状態を好みます。空気が乾燥すると、ウイルスを含む飛沫の水分が蒸発して軽くなり、空気中に長時間漂うことができるようになります。

 しかも、軽いため遠くまで飛んでいくことができるので、汚染範囲も広がります。さらに、冬は室内にこもり、部屋を閉め切って過ごすことが増えるので3密(密閉・密集・密接)になりやすく、ウイルスに接触する機会が増えてしまうのです。空気の乾燥によって鼻やのどの粘膜も潤いが不足し、さらに冷えも加わると、バリア機能が落ちてしまうため、感染しやすくなるわけです。

「広がりやすくなったウイルスに対抗するためには、私たちの防御力を上げること。すなわち免疫力を強化することが大切です」(森内医師)

そもそも免疫って何? どうやって体は守られているの?

 免疫とは、細菌やウイルスが体内に入り込んだとき、攻撃して撃退する防御システムのことです。免疫には、生まれつき備わっている「自然免疫」と、成長過程で手に入れていく「獲得免疫」があり、協力しながら体を敵から守っています。これらの働きはおもに免疫細胞(白血球)が担っています。

 ウイルスや細菌などの敵が入ってきたとき、敵の種類に関係なく、すぐさま駆けつけてやっつけてくれるのが「自然免疫」。自然免疫をくぐり抜け体内で悪さをしはじめた敵と闘うのが「獲得免疫」です。敵と闘って得た情報は記憶され、次にまた同じ敵が来たときには素早く反応、効率よく攻撃ができるようになります。この仕組みを利用したのがワクチンです。

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石村紀子
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