落語家・春風亭一之輔さんが連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「年末年始」。
だいたいが調子にのりすぎなのだ。「年末年始」とかいうヤツは。
とりあえず年末年始をいつからいつまでと定義するか。12月23日〜1月7日、平成の天皇誕生日から東京で松がとれるまでの16日間でどうだろか。
一年のうちにこんなにチヤホヤされ、持ち上げられ、怖がられ、嫌がられ、調子にのっているそんな16日間はない。
しかしながら、6月10〜25日なんかジメジメしてるだけの、なんの中身のない16日間だし、8月25日〜9月9日なんか夏休みが終わってしまい、長い2学期が始まってしまうという子供たちの嘆き悲しみであふれる憂鬱な16日間だし、11月20日〜12月5日なんか年末前のあっという間に過ぎ去る、あったのか、なかったのかわからないような存在感のなさすぎる16日間だし。まぁ年末年始の存在感が特別なのは仕方ないことか。
「俺たちいつもカラカラだから」
こんなとるに足りないハシタの16日間(6月10〜25日)が居酒屋でのんびり忘年会してるところへ、「チーム年末年始」が入店してきたとしよう。即座に全員が立ち上がって大騒ぎ。
「おい! ヤバい! 年末年始さんだぞ! なんでこんな店にくんだよ!?」「とりあえず挨拶いくか!」「そうだな!」「お疲れ様ッス」「ご苦労ッス」「ッス」「ッス」「ッスッスッスッス!!」。平身低頭の木っ端16日間たち。
1月4日「なんだよ、お前ら。こんな店で飲んでんのか? もっと店選んだらどうだよ?(笑)」
12月28日「いやぁ、そんなことないって。なかなかいい店だよ。ちょっと湿度が高いけどなー。俺たちいつもカラカラだからちょうどいいや」