ITパスポートより1レベル上の情報セキュリティマネジメントも、トライしがいのある資格だ。

 大学生や高校生でも、軽々合格することがあるというITパスポートと比べると、対象は企業のマネジャーや係長クラス。プログラマーのノウハウなどより、セキュリティーに特化した試験となっている。どちらもITの仕事に就く予定がなくても、社会人の「読み・書き・そろばん」を装備した証しに持っていれば、何かのときに役に立つ可能性はありそうだ。

 IT関係ではAIやディープラーニングに関する知識に特化したG(ジェネラリスト)検定という民間試験もある。近い将来、記者の代わりに記事を書いてくれるようになるかもしれないChatGPTの登場で注目を集めるAIやディープラーニング。その仕組みを本腰入れて学ぶためにはぴったりの資格だ。

「時流に乗って資格を選ぶのは大事ですが、流行に振り回されるのは考えもの。AIに特化した知識を身につけるより先に、そのベースになるITの基礎知識をしっかり身につけたほうがいいとアドバイスしています」

 直接ITに関わる資格ではないが、これまでの人生経験を生かせる前出の社会保険労務士や中小企業診断士も難関ながら、中高年にぴったりの資格だと林さんは言う。

 社労士は労働問題と社会保険制度の専門家で、企業のパートナーとして「人」の面で企業の発展をサポートする。中小企業診断士は、専門知識を生かして、企業と金融機関や行政などをつなぐ手助けをすることもある。

「どんなDX化を進めるにしても、まずはその企業の仕事内容を分析する必要がある。それを手がける中小企業診断士は、どんな時代にも必要とされる仕事です」

■キャリア相談の資格も役立つ

 もうひとつ、社会人経験を生かせる資格として林さんが挙げたのが、キャリアコンサルタントという国家資格だ。企業やハローワークなどでキャリアについての相談に乗る資格で、国も2024年度末までに資格保有者を10万人に増やす計画を打ち出している。

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