一筋縄ではいかない仕事と育児の両立。どうすればうまくいくのか。森澤恭子・東京都品川区長に聞いた。AERA 2024年11月25日号より。
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従前と比べれば、今は保育所の待機児童ゼロが増えているし、ベビーシッター助成や保育料無償化施策などもあり、子育て支援策は充実しつつあると考えます。
品川区では、0歳児への「見守りおむつ定期便」を実施中で、現在は、「朝の小1の壁」を打ち破るべく、子どもの朝の居場所作りに向けた検討をしています。
ただ、子育ての負担感は必ずしも減っていないのが現状です。仕事中、子どもが発熱したら早く帰らなければならず、子育てと仕事の両立に後ろめたさを感じてしまう、そんな日本社会の現状。柔軟な働き方が認められない職場もあるでしょう。
私には中学生と小学生の子どもがいます。子どもたちが0歳、2歳のとき、再び働こうと思ったのですが、残業前提長時間勤務の仕事が多く、子育てと仕事の両立を困難にする、そんな社会の仕組みやジェンダーギャップを解消するために、政治の世界へ飛び込みました。
「すべて、子どもは親が見なければならない」と家庭のみに子育ての責任を問う社会風土や同調圧力もあります。
確かに子育てに協力的な祖父母が近くにいれば助かりますが、遠くに住んでいる場合は、孤独な子育てになりがちです。
もとより「家族」だけに子育て負担を強いるのではなく、誰でも利用できる施策を充実させ、社会全体で子どもと子育てを支える社会をつくることが重要です。
また、子育ては「こうあらねばならない」という固定観念からの脱却が、子育てをラクにするとも感じています。
※AERA 2024年11月25日号