1983年のNHK紅白歌合戦に中森明菜は初出場。「禁区」を歌唱(ファン私物 撮影/中村隆太郎)

 この「特別枠」の出場者として、ここ数年、期待されているのが中森明菜だ。芸能評論家の三杉武さんは「NHKは中森明菜さんに今年こそはなんとしても絶対に出てほしいと考えていると思います」と話す。

 中森明菜に「なんとしても出てほしいだろう」と三杉さんが分析する理由は、紅白の視聴率の低迷だ。昨年は2部制となった1989年以降での歴代最低視聴率を記録。平均世帯視聴率は第一部で29.0%と初めて30%を割り込み、第二部も31.9%と前年よりも3.4ポイント下げた。クイーンやNewJeansを引っ張り出してもワースト記録を更新することになった。

明菜のサプライズ感

「“○○が出るから紅白でも見てみるか”と思えるアーティストの筆頭って、中森明菜さんではないでしょうか。もちろん、その他にも著名なアーティストはたくさんいます。しかし、サプライズ感、レア感という点からは、しばらくテレビに出演していない中森明菜が出場するとなれば、話題性は絶大で、ファン以外の幅広い世代の人たちが紅白を視聴するきっかけになると考えられます」

 ただ、中森明菜は、ここ数年、「特別枠」での出場が噂され続けている。

 “今年こそは”と思える動きが、この10月は活発だった。NHKは、10月3日に「The Covers」で「中森明菜ナイト!」を放送。5日には、91年の幕張メッセでの中森明菜のライブ「伝説のコンサート~中森明菜」(BS NHK)をリマスター版で放送。さらに、好評だった「The Covers 中森明菜ナイト!」の特別編が11月7日に放送される。

「NHKは立て続けに中森明菜さんの番組を放送しています。さらに、『The Covers中森明菜ナイト!』には本人がスペシャルメッセージを寄せています。これまでは、中森明菜さん関連の番組が放送されたとしてもコメントを出すようなことはなかった。今回のメッセージから、NHKには中森明菜さんとのパイプがあることがわかります。昨年よりも出場する確率は上がったといえます。紅白の視聴率低迷の事情も加味すると、中森明菜さんの出場の可能性は高いと思います。しかし、明菜さんご自身が以前から復帰に関して“体調が整えば”と言っているように、体調次第のところもあります」(三杉氏)

 体調という面では、中森明菜は、今年の7月の自身の59歳の誕生日にファンクラブ限定イベントを開催。約6年半ぶりにファンの前で歌唱している。また、追加公演として、12月27日、28日にイベントが行われることが所属事務所から発表された。

中森明菜の地元「清瀬駅」100周年をお祝いした直筆メッセージ入り特設ボード。今年の明菜の誕生日7月13日にはたくさんのファンが写真を撮りに訪れていた

 自身のイベントは12月27日、28日、紅白のリハーサルは例年12月29日、30日と本番当日の31日の3日間。スケジュール的には不可能ではない。

 今年の年始の1月2日に放送されたBS-TBS特番「中森明菜 女神の熱唱~新たな歌声&独占メッセージ~」に寄せた肉声メッセージで中森明菜はこう語っている。

「2024年もどうか、応援というか横目でいいので、見守ってください」

 今年こそはと期待は高まるばかりだが、横目で紅白出場の知らせを見守ることにしよう。(AERA dot.編集部・太田裕子)

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