──最近のプライベートでの過ごし方を教えてください。

 絵はずっと、日常的に描いています。夏に久しぶりに個展を開けたらいいなって思っています。音楽以外にも、世の中に残せるものがあってもいいのかなって思ってますね。最近はあまり行けていないんですが、登山、トレッキングが好きです。山はね、なんにも悪いところがないんですよ。いいことずくめといってもいいくらい。日常で東京という大都会の真ん中で、多くの人に囲まれているわけですから、時々ポツンと山の中にひとりいるのは、すごく心地いい。社会の毒素というか、そういうものが浄化されるような感じがします(笑)

──デビュー35周年ということは、地元の久留米から上京してからも35年ですね

 九州のしょうゆって甘いじゃないですか。(関東のしょうゆに舌が慣れなくて)昔は実家から送ってもらっていたくらいでしたが、あれをあるときから甘ったるく感じるようになった。それが東京人になった瞬間だったんでしょうね。

──とはいえ、地元への愛情は持ち続けている。

 もちろんです。久留米市歌を作曲したり、ソフトバンクホークスの歌も歌ったりしています。田舎は心の中にあるというか。僕が東京人になっちゃったといっても、東京に住もうがニューヨークに住もうが、ロンドンに住もうが、ふるさとは久留米。それは変わらないですね。実家の窓を開けると、耳納連山の山並みが見えるんです。道路や建物が変わっていっても、窓を開ければ同じ山があるし、小学校には今も同じ木がある。土手には同じ時期に同じ花が咲く。その変わらなさに、妙にノスタルジックな気分をおぼえることがある。それは、田舎を持つ人間にしかわからない感覚なのかもしれない。だから、田舎のない東京出身者は、地方出身者と結婚することをすすめたい。自分にとってのふるさとを、あとから手に入れることができるから。

──50代も半ばになりました。デビュー時に、50代の自分を想像したことは?

 全っ然、想像もできなかったですね。あのころの50代って、もっとおじさんぽかったと思いますしね。

──こんな大人になりたかった、という理想像みたいなものはありましたか?

 昔から、自由にやってるなという雰囲気の大人への憧れは強かったですね。そういうオヤジに、なりたかったかもしれない。

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