都内で中学受験塾「應修会」を主宰する茂山起龍(きりゅう)さんのAERA with Kids+連載「中学受験、その先に」。今回は、中学受験塾・希学園首都圏で学園長を務める山﨑信之亮(やまさき・しんのすけ)さんと対談。ともに中学受験を経験し、19歳から受験の指導に携わるお二人に、中学受験をしたきっかけや、そこから得たものなどをお聞きしました。
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――お二人は中学受験を経験した後、中学受験塾で塾講師をされています。ともに19歳で塾講師のアルバイトを始めるなど、共通点も多いです。そもそも、中学受験に臨むきっかけはなんだったのでしょうか。
山﨑信之亮(以下、山﨑) 母が絵に描いたような教育ママだったこともあり、僕は小学校受験も経験しているんです。生まれは大阪で、いわゆるお受験幼稚園に入り、そこから国立の大阪教育大学教育学部附属天王寺小学校に入学しました。その後、中学受験を経て灘中学校に入るわけですが、僕の代は小学校の学年90人くらいいるなかで、12人が灘に進むような環境でした。
うちは、父が高卒で母が大学院卒という家庭。最終的には離婚しているのですが、母はずっと勉強ができない父を見下している節はありましたね。僕が幼い頃から「この子には勉強をさせる」と躍起になっているところがあったと思います。まあ結果的に30年後には、この母に感謝することになるんですが……。
茂山起龍(以下、茂山) 僕もちょっと似ているところがありますね。両親ともに勉強にあまり興味がなく、とくに父は子どもに対してもあまり興味がないような人でした。父も母も兄弟が多かったので、二人とも幼い頃はやりたいことはやらせてもらえなかった。その反動なんでしょうね、母は僕が「やりたい」ということはなんでもやらせてくれていました。「親が与えられるものはなんでも与えてみたい」という気持ちが強かったのかもしれません。
中学受験塾に通うことになった理由としては、僕が「塾に行きたい」と言い出したから、と後になって母から聞きましたが、僕自身にはそんな記憶はなく(笑)。でも、体験授業に行って楽しかった記憶はあるので、確かに「楽しかった」とは口にしたのだと思います。実際、小さい頃から英会話や空手、サッカーなどさまざまな習いごとをしていましたが、塾での勉強が一番楽しかった記憶はあります。
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