都内で中学受験塾「應修会」を主宰する茂山起龍(きりゅう)さんのAERA with Kids+連載「中学受験、その先に」。今回は、YouTube「数学・英語のトリセツ!」が登録者22万人と人気で、河合塾などで数学講師を務める迫田昂輝さんと対談。中学受験を目指す多くの親御さんが気になっている「英語入試」について、現状やメリット・デメリットを語ってもらいました。

MENU 難関校・豊島岡女子学園が2025年から英語資格入試を導入 中学入試に英語を導入するメリット・デメリットは? 「点数化」することで英語が嫌いになってしまう?

難関校・豊島岡女子学園が2025年から英語資格入試を導入

――2020年から小学3年生からの英語教育が必修となりました。中学受験において、英語はいまどうなっているのでしょうか。

茂山起龍(以下、茂山) 中学入試で試験に英語を選べたり、英検で加点・優遇したりする学校は「ここ数年で増えている」、という印象がありますね。2024年は、首都圏の私立中学約300校のうち約140校が英語入試を実施したというデータもあります(※出典:首都圏模試センター)。16年時点では64校だったので、倍以上の数になります。とはいえ、実態は女子校や共学の国際系学部での導入が多く、男子校ではほとんど実施されていません。

迫田昂輝(以下、迫田) 「御三家」といわれる最難関校などでは男女ともにまだ導入されていませんが、今年5月には“難関校”の一つとされる豊島岡女子学園で「算数・英語資格入試」の新設(2025年〜)が発表されました。ただ、どれくらいの出願があるのか、実際にどんな生徒が入学するのかはまだ読めないところですね。

――豊島岡女子学園の「算数・英語資格入試」は、従来の4教科入試と並行して行うもので、算数の得点を2倍したものに英検取得級による「みなし得点」を加えた300点満点で判定するそうですね。

茂山 豊島岡女子学園の算数の問題は難易度が高いので、あのレベルの問題を解ける生徒が受験すると考えると、算数の得点が大きく作用するでしょうし、募集人数も若干名なので、“試験的な導入”という側面もあるのでしょう。

迫田 いまは、どこの中学も英語については手探りの段階なのでしょうね。河合塾の英語専門の講師に聞いたところ、「ある学校は文法の問題はよくできていると思うけれど、文法以外の問題は別の学校のほうがいい」といったように、問題のレベルにバラつきもあるようです。「小学生に向けた、適切な英語試験になっているか」という観点で考えると、基準が難しいところです。

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茂山起龍
中学受験塾「應修会」塾長 茂山起龍

しげやま・きりゅう/1986年生まれ。中学受験を経験し、大学附属校に入学。大学在学中から個別指導塾、大手進学塾などで中学受験指導に携わる。会社経営の傍ら、2011年、東京・西葛西に中学受験指導塾「應修会」を開校。自らも教壇に立って指導を行う。中学2年、小学6年の男子の父。X(旧Twitter)での中学受験についての発信も人気で、フォロワーは1万人を超える。X: @kiryushigeyama

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