近年、同性愛者の結婚をめぐる問題に関心が高まっている。婚姻の陰に隠れるのが、「子作り」の問題だ。米国で同性カップルの家族と直接の交流経験を持つ新聞記者が、現状に迫った。米国では2015年、同性婚を憲法上の権利として認める最高裁判決が下り、現在は同性カップルによる子育てが増加する「ゲイビーブーム」が到来中だ。子をどう授かり、家庭をいかに維持するか。制度的実態に留まらず、体外受精による代理出産、家事・育児の分担など、ゲイ/レズビアンカップルの声を伝える。
 課題も多い。同国では伝統的家族観を重んじる保守派の反対が根強く、同性カップルの子が学校でロッカーを荒らされるなどのいじめに遭う、親が現れると他の保護者が急に静かになるといったケースもあるという。法が味方になっても、社会の偏見は簡単に消えないのが現実なのだ。レズビアンの両親を持ったある男子大学生が「私の家族はあなたの家族と何も変わりはありません」と訴えたスピーチは胸を打つ。当人たちの日常に焦点を合わせ、読む側の身構えを無理なく解きほぐす。

週刊朝日 2016年4月8日号

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