桜のシーズンが近づいています。今年はどこで、お花見を楽しみますか——。
名所は全国各地にありますが、今回は、北陸新幹線開通により観光客もぐんと増えた金沢の「兼六園」をご紹介します。
兼六園では、ソメイヨシノの開花に合わせて毎年7日程度、無料開放され、開放日には、夜間ライトアップも!
また、「兼六園菊桜」という学名にもなっている桜も見応えたっぷり。
ソメイヨシノが散った後に咲く遅咲きの桜で、無料開放には間に合いませんが、美しい庭園で美しい桜を堪能してみてはいかが。
松平定信が命名した「兼六園」
金沢市の中心に位置し、金沢城公園に隣接する「兼六園」は、日本三大名園と称される庭園です。
その名は、江戸時代に松平定信が命名したと言われています。
中国宋代の詩人・李格非(りかくひ)の『洛陽名園記』から採用されており、宏大(こうだい)、幽邃(ゆうすい)、人力、蒼古、水泉、眺望の六つを兼ね備えるという意味があるのですね。
園内には、瓢池(ひさごいけ)と霞ヶ池の2つの池、翠滝、曲水(きょくすい)の豊かな水の流れがあり、そこに人の手が丁寧に施された名木や、名石、四季折々の花々がまるで絵画のように配されています。
どこから見ても絵になる美しい庭園なので、しばし時を忘れて散策したくなるはずです。
カキツバタが美しい新緑の季節も、山桜や楓が色づく秋も、雪吊りの冬景色もよいですが、約40種420本の桜が芽吹く春の兼六園はやはり人気が高いと言えそうです。
市民の憩いの場から有料化へ。特別な日には無料開放
もともと兼六園は無料で24時間、開放されていました。
入場料が発生するようになったのは、1976年のこと。庭園管理のための金銭的な負担の重要性と、憩いの場として広く門戸を開放する論議は、マスコミを巻き込み討論会が何度も行われたと言います。
現在の料金は大人310円・小人100円。
ソメイヨシノの開花時期や年末年始など特別な日に限り無料開放され、多くの賑わいを見せています。
花びらが300枚以上の見事な「兼六園菊桜」
ソメイヨシノが散り始めても、遅咲きの桜が次々に咲き出すのも、兼六園ならではの魅力です。
最も有名な桜と言えば、「兼六園菊桜」。
開花時期は4月下旬から5月中旬。大きな特徴は、花弁(花びら)の数が300枚を越えること。ソメイヨシノの花弁は5枚ですから、非常に貴重な桜であることが分かると思います。
最初は濃い紅色で、次第に薄紅色から白色へと変化し、最後に花柄ごとぽとりと落ちます。このため、実がつかず種子ができないのも大きな特徴です。現在の兼六園菊桜は2代目ですが、天然記念物であった1代目の接ぎ木から生まれました。その苦労は並々ならぬものだったと、今に伝えられています。
また、4月中旬頃に開花となる「兼六園熊谷桜」も、紅色が鮮やかな見応えある桜なので、観賞してみてはいかがでしょう。
無料開放の日が決まるのは、金沢市のソメイヨシノの開花宣言が出た後です。
この無料開放の時期は、夜間ライトアップが18:30〜21:00まで行われます。
兼六園の公式HPで案内されていますので、ぜひチェックして、満開の桜を楽しんでくださいね。
○参考/『兼六園歳時記』(能登印刷・出版部)下郷稔