節分(せつぶん)は、節分かれ(せちわかれ)とも言います。その言葉の通り、元来、立春・立夏・立秋・立冬それぞれの前日を指しているのですが、現在では節分と言えば立春の前日を指すようになりました。
豆まき、恵方巻、イワシに柊…その基本のキをおさらいしてみると…。

豆まきと鬼
豆まきと鬼

四季にあった季節の分水嶺…なぜ、立春の前日だけになったの?

冒頭にも触れたように、節分は各季節の変わり目の前日を呼ぶものです。しかし、四季の中でも冬から春へと変わる立春の前日は特別なものでした。
旧暦では二十四節気のはじまりでもある立春が、一年のはじまりと考えられていたためです。冬を見送り春を迎える分け目の節分は、大晦日のような意味合いがあったのですね。特に江戸時代以降から、立春の前日を「節分」とよぶようになり、今へと伝えられて来ました。
新しい季節と新しい一年の区切りであるこの日、当時の人々は厄払いに余念がありませんでした。

鬼は外福は内…だけではなかった⁈ 豆まきのかけ声 ①寺社編

季節の分水嶺とも言える、節分。その行事は地方により様々ですが、豆まきは外せないですね。季節の変わり目には邪気(邪鬼)が生じると言われていたことから、それを払うためにはじまりました。これは、平安時代から行なわれている「追儺(ついな)」に由来しています。また、豆まきをする際のかけ声は「鬼は外福は内」が一般に知られるところですが、地方や寺社の特徴により様々バージョンがあるのでご紹介しましょう。
・「鬼は内、福は外」…京都・大原神社では、鬼を神社に迎えて福を氏子さん達に贈ると言う考え方で、一般とは逆のかけ声に!
・ 「福は内、福は内」…千葉県・成田山新勝寺では、ご本尊、不動明王のご慈悲が鬼を改心させると考えられ、鬼は外は禁句だそうです。
・「千秋万歳福は内」…東京都・浅草寺では、観音さまの前に鬼は存在しないと言う考えから、福は内しか唱えません。

豆まきのかけ声② 地方編

お寺と神社は信仰の対象により異なりますが、地方による特色も興味深いものがあります。
・「鬼は外福は内、天に花酒、地に実なれ」…東北・ 秋田、青森では、こちらが一般に使われています。酒どころ、米どころならではのかけ声ですね。
・「福は内、福は内、鬼は外、鬼は外、天打ち地打ち、四方打ち、鬼の目ん玉ぶっつぶせ」…同じ東北でも、山形ではなかなか威勢のよいかけ声があります。が、こちらは現在では一般的ではないとか。
・「福は内、鬼も内」…こちらは群馬県、鬼恋節分祭で各地から追い出された鬼を呼ぶお祭りのかけ声です。捨てるものあれば…でしょうか?
こうしてみると、自分の住む地域やご縁のある寺社の特徴が気になりませんか? 今年は地元の神社やお寺、ニュースから聞こえる豆まきのかけ声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか?
この節目がより良い一年の区切りになりますように願っております。
《参考》
豆知識PRESS〜節分の由来より引用