(c)氷艶hyoen2024 -十字星のキセキ-
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 高橋大輔が「氷艶 hyoen 2024-十字星のキセキ-」(横浜アリーナ、6月8~11日)でみせたのは、最高の舞台を創るために全力を尽くす、エンターテイナーとしてのゆるぎない姿勢だった。

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 今公演が第3作目となる「氷艶」は、高橋にとって常に進化のきっかけとなってきた特別なアイスショーだ。第1作「氷艶 hyoen 2017 -破沙羅-」では、リンクの上に置かれた板張りの舞台で、歌舞伎の曲に合わせてヒップホップの手踊りを組み込んだ日舞を披露。第2作「氷艶 hyoen2019-月光かりの如く-」では、台詞と生歌に初挑戦した。

 そして今回の「氷艶 hyoen 2024-十字星のキセキ-」では、高橋は前作より多くの場面で台詞を口にし、自己犠牲を体現する主人公・カケルを演じる。宮沢賢治の名作「銀河鉄道の夜」をモチーフにした今公演では、現代社会の問題をテーマにした物語が展開されていく。ストーリー性が高い今公演で主役を務める高橋は、武器である伸びやかなスケーティングも、カケルを表現するツールとして使いこなしていた印象だ。

 昨年5月に2度目の競技引退を発表後、プロスケーターとして精力的に活動する高橋は、何があっても動じることなく自らの役割をまっとうする胆力を身につけたように見える。今回の「氷艶」については、制作過程で演出担当や出演者の変更があった。しかし初日公演の高橋からは、今公演を背負って立つ責任感と共に、静かな自信が感じられた。

 今年2月に開催された自身のプロデュースによるアイスショー「滑走屋」では、高橋はアイスショー初出演の若手も含む出演者を引っ張り、公演を成功させている。困難も多かったという「滑走屋」での経験が、さらに高橋を大きくしたのかもしれない。

 そして今公演で特筆すべきことは、友野一希や島田高志郎といった高橋の後輩達も、エンターテイナーとして新境地を開いたことではないだろうか。友野や島田は元より表現力に優れたスケーターだが、他分野のプロと共演する「氷艶」という特別な舞台で、その魅力が進化した印象だ。

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プロスケーターとして新たな道を切り開く高橋