春風亭一之輔・落語家
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 落語家・春風亭一之輔さんが連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「鰹」。

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 私は鰹が好きだ。たしか自分のmixiのプロフィールにも「好物」として「鰹のたたき」と書いていたような気がする。気がするのだが、パスワードを忘れてしまったし、今更ログインする必要性も感じないので真偽のほどはわからない。

 校閲の人、べつに無理に確認しなくてもいいですからね。今からアカウント作ってマイミク申請されても、承認しようがないのです。

 でも本当に好きなのだ、鰹。信じてください。

 10年くらい前か。うちの師匠が寄席でトリをとった千穐楽の打ち上げ。私が鰹のたたきを注文した。だって好きだから。総勢8名なのに4皿も頼んでしまった。しょうがない、好きなんだもの。ひと皿に10切れくらいあったか。私以外の人は1〜2切れ食べれば十分だったようで、ずいぶん余ってしまった。

「食べないならオレ、もらいます」

 そらぁ言うよね、好きなのだから。

「好きだねー」「好きですねー」「食べすぎてお腹壊すなよー」なんて、鰹好きな私のことを皆がヒューヒュー!と囃し立てる。師匠も先輩も後輩もみんな私の鰹好きを羨んでるのかも。「そんなに好きなモノがあるって、一之輔、ホント羨ましい!」って。まぁ、べつに何言われてもかまわないよね。好きなんだよ! オレは鰹が!

「鰹が兄さんのことを好きかどうかはわかんないっすよ(笑)」

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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鰹は「みんなの鰹」なのだから